このマーク、何の色?|日用品のマークに見る、選ぶ人の想いと選ばれる未来【日用品編】

お洗濯や掃除、あるいは毎日の身支度のなかで、洗剤のボトルや衣類のタグ、ノートやティッシュペーパーなど、ふと手にしたものに見慣れないマークがついているのを目にしたことがあるかもしれません。
このマーク、何か意味があるのかな?」「環境に優しいってことかな?」そう気になりながらも、そのままにしてしまうこと、ありますよね。私たちの暮らしの中には、食品と同じように、たくさんの日用品やモノに色々なマークがあふれています。

健康や食に関心を持つ中で、徐々に環境のこと、そして地球の未来のことも考えるようになった。できることから、無理なく、暮らしの中で地球に優しい選択をしてみたい。そんな風に感じているあなたに寄り添いながら、この記事では、普段使っている日用品やモノに関する認証マークについて、分かりやすくお話しします。

これらのマークの「色」や形が教えてくれるのは、単なる機能やデザインだけではありません。そこには、ものづくりへのこだわり、自然環境を守る取り組み、そしてその製品が生まれた場所で働く人々の物語など、見過ごされがちな大切な価値が隠されています。

難しい知識は不要です。マークの意味を少し知るだけで、いつものお買い物の風景が、きっと新しい発見に満ちたものに変わるはず。「知る前」と「知った後」で、モノの見え方、そして世界の色が違って見えるかもしれませんよ。完璧を目指すのではなく、できることから、あなたのペースで大丈夫です。日用品のマークがそっと教えてくれる、やさしいヒントを見つけに出かけましょう。

目次

「このマーク、何?」買い物のときに感じる小さな疑問

パッケージの片隅に、小さな社会とのつながりが隠れています。

洗剤やシャンプーを選ぶとき、あるいは衣類や紙製品を手にとるとき…パッケージやタグに付いている、見慣れないマークにふと目が留まることがあるかもしれません。
地球をやさしく包む手、木の上にいるカエル、森のシルエット…形も色も様々です。「なんとなくエコっぽいな」「環境に良さそうかな?」と感じることもあれば、「たくさんのマークがあって、結局何が違うんだろう?」と疑問に思うこともあるかもしれません。
これらのマークは、「認証マーク」や「環境ラベル」「社会ラベル」などと呼ばれ、その商品やサービスが特定の基準を満たしていることを証明するものです。私たちの日常にあるこれらの小さなマーク一つひとつに、私たちが普段の買い物では見過ごしてしまいがちな、大切な物語や情報が込められています。

そもそも認証マークって、なんのためにあるの?

なぜ、わざわざ商品にこのようなマークを付ける必要があるのでしょうか?その目的はいくつかあります。

信頼性の証明

認証マークは、第三者機関が、商品やサービスが特定の基準(例:環境への配慮、労働者の権利保護、有機栽培の基準など)を満たしていることを客観的に評価し、保証していることを示します。これにより、消費者は企業の主張だけでなく、信頼できる機関のお墨付きとして商品を選ぶ手がかりを得られます。

情報を分かりやすく伝える

商品パッケージには、限られたスペースしかありません。認証マークは、複雑な情報を記号として分かりやすく伝える役割を果たします。マークを見るだけで、「環境に配慮して作られた商品なんだな」「開発途上国の生産者さんを応援する商品なんだな」といった大まかな情報を瞬時に把握することができます。

企業や生産者の取り組みを応援する

認証マークが付いた商品を選ぶことは、その基準を守ってものづくりをしている企業や生産者を応援することに繋がります。消費者の意識的な選択を通じて、環境保護社会的な公正さを重視する取り組みがより広く社会に広がっていく後押しになります。

つまり、認証マークは、私たち消費者が「どんなものを選ぶか」を判断するヒントを与えてくれる存在です。

そして私たちが意識的に商品を選ぶことが、見えないところで地球環境や社会に良い影響を与える可能性を秘めている、ということなのです。

暮らしでよく見かける、代表的な認証マークを見てみよう(日用品編)

ここでは、私たちの普段の暮らしで使う日用品やモノに関する認証マークの中から、特に代表的なものをいくつかご紹介します。それぞれのマークが持つ「」や「」に込められた意味、そしてそれが教えてくれる価値や物語を見ていきましょう。

エコマーク

エコマークは、日本で広く使われている環境ラベルのひとつです。日用品、家電、文具、家具、衣類、さらにはサービスに至るまで、生活のさまざまな場面において環境への配慮を見える形で示すマークとして、長年親しまれてきました。青い地球を抱きしめるようなデザインは、「わたしたちの暮らしと地球の関係」をやさしく問いかけてくるようでもあります。

どんなマーク?

このマークは、製品やサービスのライフサイクル全体(原材料の調達から廃棄まで)において環境負荷が少ないと認められた場合に付けられます。製品ごとに定められた基準があり、それを満たしたものだけが認証を受けられる仕組みです。洗剤やノート、コピー用紙、家具、洗濯機、パソコン、オフィス用品など、身近なものにも多く見られるのが特徴で、選ぶ際の安心材料にもなっています。

何がわかるの?

  • ライフサイクル全体での環境配慮:
    製品の原材料調達から製造、使用、廃棄にいたるまで、環境への影響が総合的に評価されていること。
  • 省エネルギー・省資源への取り組み:
    限られた資源をできるだけ効率よく使い、エネルギー消費や廃棄物の発生を抑える工夫がされていること。
  • 有害物質の削減:
    環境や人の健康に悪影響を与える物質の使用を可能な限り避けていること。

エコマークがついた製品を選ぶことは、私たちが日々の暮らしの中で、“ちょっといい選択”を無理なく取り入れることにもつながります。ふと手に取った商品の片隅に、このマークを見つけたとき、それが「つくる人」と「地球」との静かな対話のように感じられるかもしれません。

【参考:エコマークとは?|公益財団法人日本環境協会エコマーク事務局

FSC認証

責任ある森林管理を世界に広めるための国際的な認証制度です。このマークが付いた紙製品(ノート、ティッシュペーパー、本など)や木材製品(家具、建築材など)は、環境や社会、経済に配慮して適切に管理された森林から生まれたものであることを示しています。一本の木と小さなチェックマークは、森の命を大切に使う目的として、静かに私たちの選択を支えてくれています。

どんなマーク?

森をイメージしたデザインと「FSC」の文字が入っています。FSCには、「森林管理協議会」という意味があります。適切に管理された森から生産された木材や、再生資源などが責任をもって使われていることを証明します。

何がわかるの?

  • 森林の適切な管理:
    自然環境を守りながら、計画的かつ責任ある方法で木材が生産されていること。
  • 労働者や地域社会への配慮:
    森林で働く人々の安全や暮らし、そして地域の文化や権利が大切にされていること
  • 持続可能な利用:
    将来の世代が使う木材や森林資源を守るために、自然と経済のバランスが考えられていること。
  • 認証の厳格なトレーサビリティ:
    伐採から加工・流通・販売にいたるまで、認証された木材がきちんと管理されていること。

このマークが付いた製品を選ぶことは、ただの「紙製品」や「木製家具」を選ぶ以上の意味を持ちます。
たとえば、手に取ったノートやティッシュが「ちゃんと森のことを考えて作られている」とわかるだけで、
いつもの買い物が、少しやさしい選択に変わるかもしれません。

【参考:森を守るFSCマークとは|FSC®Japan

バイオマスマーク

バイオマスマークは、植物などの再生可能な有機資源「バイオマス」を使って作られた製品に付けられるマークです。
そのデザインには、自然と調和したモノづくりへの想いと、資源が再び生まれ変わり、暮らしの中で活かされるという循環のイメージが込められているようにも感じられます。

どんなマーク?

このマークは、製品の一部または全部に「バイオマス」が使われており、資源の循環や地球温暖化の防止に配慮していることを示しています。バイオマスの使用割合に応じて「バイオマス度(10〜100%)」が表示されるのも特徴で、主にレジ袋、食品トレー、洗剤、文具など幅広い製品で見かけます。

何がわかるの?

  • 再生可能資源の利用:
    石油ではなく、とうもろこしやサトウキビなどの植物由来の原料(バイオマス)を活用して作られていること。
  • カーボンニュートラルの視点:
    燃やしてもCO₂の総量を増やさないという、大気中の炭素を循環させる視点で環境に配慮されていること。
  • バイオマス度の表示:
    製品にはバイオマス度(10〜100%)が明記されており、どれくらい自然由来の資源を使っているかを確認できること。

このマークが付いた製品を選ぶことは、限りある資源に頼りすぎない新しい「ものの在り方」への共感とも言えるかもしれません。かつて捨てられていた資源が、また違うかたちで生まれ変わり、わたしたちの手元に届いている。そんな背景に思いを寄せるだけで、日々の選択が少しやさしいものになる気がしてきます。

【参考:バイオマスマーク|一般社団法人日本有機資源協会

その他の環境・社会系マーク

上記で紹介した以外にも、日用品やサービスに関連する様々な認証マークが存在します。例えば、プラスチックのリサイクルを示すマーク(容器包装リサイクル法に基づく識別マーク)動物実験を行っていないことを示すマーク(クルエルティフリーと呼ばれるマーク)などがあります。

これらのマークも、私たちが普段使っているモノが、どのように作られ、どのように地球や社会と関わっているのかを知るための大切なヒントになります。それぞれのマークが持つ意味や物語に、少し立ち止まって関心を向けてみることが、「知る」ことの第一歩です。

大切なのは、それぞれのマークが何を意味しているのか、少し立ち止まって関心を持ってみることです。その一つ一つに、暮らしの安全や環境、社会への配慮といった様々な想いや努力が込められています。

たくさんのマークがあるけれど…どれを見ればいいの?

認証マークに気づくことは、わたしたちの暮らしの見方を変えるきっかけになるのかもしれません。

ここまでいくつかの代表的な日用品に関する認証マークをご紹介してきましたが、「こんなにたくさんあるの?」「結局、どれを選べばいいか余計に分からなくなったかも…」と感じてしまうかもしれません。
でも、心配しないでください。すべてのマークに詳しくなる必要も、すべてのマークが付いている商品だけを選ぶ必要もありません。

大切なのは、認証マークは、私たちが食品を選ぶための『ヒント』をくれるものという視点を持つことです。完璧な「正解」を探すのではなく、あなたの「気になる」という気持ちを入り口にしてみてください。

あなたの「気になる」から始めてみよう

例えば、「環境に優しい洗剤を選びたい」と思うなら、エコマークや、環境負荷低減を謳う企業の独自のマークに注目してみる。「毎日使う紙製品、森を守ることに繋がるものを選びたいな」と思うなら、FSC認証が付いた商品を探してみる。

このように、あなたの興味や関心に合わせて、気になるマークから一つずつ意味を知っていくのがおすすめです。今日の買い物で一つだけ、いつもと違うマークに目を向けてみる、あるいはこの記事で紹介したマークが付いた商品を一つ試してみる、といった小さな一歩から始めてみることを提案します。

「知る」ことから始まる、社会や環境と「つながり」

日用品の認証マークについて少し知ることで、これまで何気なく見ていた商品パッケージが、少し違って見えてくるかもしれません。「あ、このマーク、この記事で読んだ木材のマークだ!森と繋がってるんだな」なんて発見があるたびに、買い物がちょっぴり楽しくなるはずです。

認証マークは、あくまで一つの基準であり、日用品の価値を全て決めるものではありません。マークが付いていなくても、こだわってものづくりをしている素晴らしい商品はたくさんあります。大切なのは、マークの有無だけで判断するのではなく、様々な情報や自分の感覚を合わせて、納得のいく選択をすることです。

でも、マークがあることで、製品の背景にある「見えない努力」や「未来への配慮」に気付く手がかりを得られるのも事実です。それはきっと、環境問題や社会的な課題といった、これまで少し難しく感じていたことが、ぐっと身近に感じられるきっかけになることもあります。

この「知る」という経験が、あなた自身の価値観や、日々の暮らしで大切にしたいことは何か、を考えるきっかけになるはずです。そして、それはきっと、あなたらしい「安心」の選び方に繋がっていくでしょう。

まとめ:日用品のマークをヒントに、心地よい暮らしと地球のつながりを見つけてみよう

この記事では、普段の暮らしで出会う日用品やモノに関する認証マークについて、その意味や役割を一緒に見てきました。

認証マークは、難解なものではなく、私たちが日々の買い物を通じて、自分自身、そして地球や社会との豊かなつながりに気付くための、優しいヒントになるものです。

完璧な選択を目指す必要はありません。「へぇ、こんなマークがあるんだな」「今度これを選んでみようかな」という、あなたの小さな「気付き」や「気になる」という気持ちを大切にしてください。マークの「」や「」に隠された意味を知ることは、いつもの食卓を、ほんの少しでも新鮮で、発見に満ちたものにする小さな一歩になるはずです。

さあ、次はどんな日用品のマークに目を向けてみますか? あなたの「できること」から、始めてみましょう。

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